専門知識のある職員による療育

私たちは、日々の生活の中で出会うさまざまな風景・物事・人々からもたらされるさまざまな感動や情動、そこから発展していく思索や想像、そして時には自分に対する反省など、数多の実体験の積み重ねが、子どもたちに自分らしく、力強く生きていくための基盤を与えてくれるものであると考えます。
それはどんな子どもたちにも共通することであり、いわゆる療育においても、基本的な態度であるべきだと考えていますし、ゆえに療育とは目の前にある学校などの場に受動的に馴染むためのスキルを身につけるためのものではなく、今後の人生をよりよく生きるための基礎を身につけ、同時に地域との交流を通じて社会の理解を得ていくための能動的な活動の場であるべきだと考えています。
そのため私たちは、できるだけ日常に近い場所で、次の3つの学びのテーマと、その基盤をなす1つのテーマ、計4つのテーマカテゴリーを設け、日々の活動の中で、できるだけ多様な物事や人々に触れる機会を提供することを重視しています。

普段の生活や活動の中で、身近な自然に触れることは非常に重要なことだと考えます。
植物や動物の息遣いを感じて、食べ物について考えたり、息を飲むような美しさの中に身を置いたりする経験の中から、今自分が生きていることを実感すること、そして自分以外の物・者に対する思いやりの心を育むことを大切にしています。

良質な芸術作品に触れることは、いつもとは違う場所から自分を取り巻く世界を俯瞰したり、いつもとは違う視点で自分の姿を眺めることでもあります。
日常とは違う時間の中で、体や心を動かし、開いていくことは、今まで知らなかった自分の感覚や感性を発見することに通じます。それらは自信とともに、自分も他者も大切にしようとする心を育てます。

たとえば、普段の生活や活動の中で目にし、手に触れ、使っているものが、どこから来ているのか。欲しいものを手に入れるには、どうすればいいのか。
地続きと感じられる程度の周囲の町なかや身近な場所で生活し活動している人々と交流しながら学ぶことを通じて、社会との結びつきについて自分ごととして感じることができる機会を作っています。

生きるためにもっとも大事な食事については、基本的に手作りのものを提供しています。健康への配慮はもとより、調理する姿をみせることや調理に加わること、配膳・片付けに関わることなどを通じて、その大切さを理解してもらえるよう、特に重視している取り組みです。